ページビューの合計

2011年7月11日月曜日

“龍神信仰”を暗示する羽黒神

送信者 2011/07

江戸時代になると、羽黒神の神について様々な説が唱えられ、本も著わされている。その代表的なものだけでも、「羽黒彦命(うがひこのみこと)」「玉依姫命(たまよりひめのみこと)」「伯禽洲姫命(しなとりしまひめのみこと)」「池御魂神(いけのみたまのかみ)」等がある。
 特に、羽黒彦命は海底にある竜宮の皇子とされる。伯禽洲姫命は龍王の娘で、皇祖三代の瓊瓊杵命(ニニギ)の御孫・鵜草葺不合命(ウガヤフキアエズ)と結ばれ、神武天皇をお生みになられた神である。
 玉依姫命は、伯禽洲姫命と同神とされるが一説には御娘とするものもある。いずれにしても、その命たちは「龍神」であることは否めない。
 池御魂命とは山上の「鏡池」の御魂をいうのであるが、「羽黒神」そのもので、古くは「池」それ自体を神として崇敬していたことは十分考えられる。そしてそれがその後盛んになり“龍神信仰”へと発展して行ったものと思う。ただ、池御魂神を羽黒山の祭神として信仰したのはかなり古い時代からで、その後羽黒彦命や玉依姫命を祀って羽黒山独得の“龍神信仰”が興ったと考えられる。
 今日、三神合祭殿の欄間や、同じ山上の蜂子神社、厳島神社(注;神仏分離以前は玉依姫命の本地とされる弁財天女を祀る弁天堂であった。弁財天女はもともと水神であり龍神である。)の向拝柱には、見事な登り龍、下り龍が彫られている。今日なお境内の石燈篭の棹にも龍の彫り物がのぞかれるばかりでなく、出羽三山神社の社宝で重要文化財に指定されている「青銅燈篭棹」(注;出羽三山歴史博物館常設展示。文和元年-1352-7月廿5日の陰刻銘がある)に陰刻されている“倶利迦羅龍王”は、すぐれた作品で、当時の羽黒山信仰を暗示していて貴重である。

0 件のコメント:

ブログ アーカイブ